ERP、MES、ショップフロアシステムをいつ、どのように選ぶべきか。本日はそれぞれの違いをご紹介します。
ERP、MES、ショップフロアシステムは、生産の異なるレベルで対応するシステムです。
ERPは事業管理にフォーカスするシステムであるのに対し、MESは、生産指示、実績収集、品質記録、トレーサビリティなどを通じて、生産実行をリアルタイムに近い形で管理・監視するシステムです。そしてショップフロアシステムとは、製造現場で設備を制御・監視し、作業者や設備から実績データを収集するための現場系システムです。代表例として、PLC、DCS、SCADA、HMI、Andon、バーコード端末、ハンディターミナルなどがあります。
MES と ショップフロアシステム の違い
製造業の情報システムは一般的に 3階層モデル(計画層 / 実行層 / 制御層)で整理されます。MES は中間の「実行層」に位置し、ショップフロアシステムは最下層の「制御層(=現場機器層)」に該当します。
ERP、MES、ショップフロアの比較表
| 階層 | システム | 主な役割 | 時間軸 |
|---|---|---|---|
| 計画層 | ERP (D365, SAP など) |
受注・計画・原価・会計 | 日/週/月 |
| 実行層 | MES (Manufacturing Execution System) |
製造指示・実績収集・品質・トレーサビリティ | 分/時間 |
| 制御層 | ショップフロアシステム (PLC / DCS / SCADA / HMI / Andon など) |
設備制御・信号取得・リアルタイム監視 | ミリ秒〜秒 |
| ポイント | ERP (エンタープライズ・リソース・プランニング) |
MES (製造実行システム) |
ショップフロアシステム (現場制御系システム) |
|---|---|---|---|
| 作業レベル | 企業レベル (Business Management – ISA-95 Level 4) |
生産オペレーションレベル (Manufacturing Operations – ISA-95 Level 3) |
機械と作業員レベル (Physical Production – ISA-95 Level 1–2) |
| 主な役割 | 生産計画、受注管理、財務、人事、倉庫管理、サプライチェーン | リアルタイムでの生産制御と追跡、生産指示の管理、品質検査、OEE分析、機械停止の記録 | 機械と作業員による実際の作業、例えば組立、生産、製品検査 |
| 管理するデータ | ビジネスデータ:受注、資材、コスト、スケジュール | 生産データ:機械ステータス、効率、品質、保守 | 現場からの実データ:PLC/SCADAからの信号、機械の稼働状況、生産の実績 |
| 実行速度 | 日・週単位(事前計画) | 分・時間単位(生産の追跡と改善) | ミリ秒〜秒(機械の実際の稼働) |
| メインユーザー | 経営層、計画部門、財務部門、購買部門 | 生産管理者、エンジニア、品質管理部門 | 現場作業員、技術者、機械オペレーター |
| 得られる成果 | 効率的な事業管理、資源計画 | 効率的な生産、ダウンタイム削減、品質向上 | 生産実績、生産からの生データ |
| 主要な質問への回答例 | 「何を、いつ、いくらで生産すべきか?」 | 「機械は稼働しているか?何個生産したか?品質は合格か?」 | 「機械は停止しているか?作業員は作業を終えたか?」 |
まとめ
- ERP = 資源計画と経営管理にフォーカス
- MES = 生産のリアルタイム制御と監視にフォーカス
- ショップフロアシステム = 実際の生産が行われる現場での制御系システム
- ERP → 何を、いつ、どれだけ、いくらで生産すべきか
- MES → どのオーダーを、どのラインで、どのロットとして、どこまで生産したか、品質・実績・トレーサビリティはどうか
- ショップフロアシステム → 設備は稼働しているか?センサー値は正常か?停止信号・アラームは発生しているか